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「あした死ぬ幸福の王子」を読んで

ハイデガーの哲学全般というものではなく「存在と時間」を分かりやすく物語にした解説書のようなものです。
ページ数も218ページなので、サラっと読めてしまいます。
「存在と時間」に興味があるけど、本書は難解なので、概略を知りたい方。本書を挫折した方。改めて読むのは大変なので、簡単に復習や再確認をしたい方には、オススメです。ちなみに私は最後の理由で読みましたが、やっぱり理解不足だったことを痛感しました。
小説としての面白さは求めない方がいいと思います。あくまで「存在と時間」を分かりやすくするために小説形式にしだのだと思いますので。個人的には最後がファンタジックになったのが解せないです。
私なんぞが最初に「存在と時間」を手にしたのは、ジャケ買いです。その題名に惹かれたのと、少し立ち読みして、そのわけの分からなさと、何となく惹き付けられるような文体に、半ば衝動的に、ちくま学芸文庫の上下巻を購入しました。
読み始めてみると「現存在」や「世界内存在」やら、やっぱりわけが分かりませんでした。
そりゃ、哲学の哲の字も学んだことがない輩が、いきなり難解な哲学書を手にしたのですから。当たり前といえばあたりまえだすが。
そもそも私は活字中毒っぽいところがありまして、活字を目で追っているという行為自体が好きなので、このような難解な哲学書は、意味が分からずに単純に活字を追えるから、という理由で性に合ったみたいです。
なんとか読み進めることができ、そんな訳の分からない単語やらが羅列されていても、ふと、こういう事を言いたかったのか、っと分かったような感じになる時があるのです。ある意味謎解きのミステリーのような感じでしょうか。そんなところが楽しく、どうにか読了出来ました。
それからしばらく放置。
モヤモヤと分かりそうで、分からない、もどかしさに我慢ができず、
もう一回読みました。
また少し理解出来る部分があったりして、
二回目、読了。
しかし大半がわけが分からないので、これは翻訳が悪いんだと、人のせいにして、今度は岩波文庫の全4巻を購入。
三回目、読了。
やはり、別に翻訳が悪い訳ではなく、私の頭が悪いようで、解説書も読んでみました。それでやっと「先駆的決意性」など、主要なテーマが何となく理解でき、結局は「死を意識して生きることによって、限られた時間の中で精一杯生きる」みたいな事が書かれていると解しました。
そんなことはそこら辺の自己啓発本にも書いてあることですよね。
確かにそうなのですが、そこまでに至る、思考の過程が謎解きのようなので、読み返す事ができたのだと思います。
まず「人間」を表す「現存在」などの単語から作り直すんですから、凄いことです。
哲学者でも全部を理解出来ないハイデガーなので、私なんかは、やはり、誤解していました。
するとまた読み返したくなるのです。不思議な本です。
私は「存在と時間」を読んだことによる、一番の影響は、死生観を持ったことでしょうか。「メメント・モリ=死を想え」ながら生きるようになりました。すると、心身、物質共に断捨離できるのです。今死ぬとしたら、これは必要なことか?
擬似臨死体験しながら、日々選択しています。
先日タイミング良く、キアヌ・リーブスもそんなことを言っていました。
まぁ、実際に余命宣告などされたら、今のように冷静な判断ができるのかと言われれば、心もとないですが。
しかし、一日一日を後悔しないように生きていくようになりました。
ホントかな?