2022年下半期の芥川賞受賞作品。
久しぶりの小説。 飽きっぽい性格なので、読書のジャンルはころころ変わります。
政治、経済、哲学、歌集~など。一つのジャンルにハマると、しばらくはその関係書を読み続けるのですが、小説はそのサイクルから外れていました。
小説は好みがハッキリと出て、それが、読み始めると早々に分かりますし、なかなか気に入る作品が無く、途中放棄することが多いので、図書館で借りてきます。
そして今回の作品。不思議に引き込まれました。
何気ないショピングモールの喪服売場の女性を中心とした日常を描いているのですが、読み始めは何か起こるのではという期待感で読み進んでいましたが、途中で何も起こらないかも、っと思いながらも読んでしまうのです。
二人称形式の効果もあるのでしょう。それと、登場人物のバックグラウンドが詳細に語られていかないのも、要因の一つかなと思います。それが、いつか語られるのではという期待をもたせるせいでしょうか。詳細には語られないのですが、家族のことや過去のことが、良いタイミングと量で出てきてると思います。
子育ての描写なんかはリアリティがあって共感できます。
苗字は出てきても、名前は出てこない。娘たちの名前も出てこない。その朧気な雰囲気がいいのかもしれません。
若い時でしたら、途中で読むのを止めていたと思います。歳のせいでょうか、ささやかな日常を優しげで、温かみのある、ちょっとのんびりとしているような、それでいて繊細に日々を見ている、主人公の女性に惹かれて読了出来ました。
題名の中編が一本と、短編が二本で構成されています。
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