いわずもかな、第169回芥川賞を受賞した作品。
作者も言っているように、怒りとルサンチマンを放出した作品。
冒頭から衝撃的。そう来たかという感じ。障害者の作品という色眼鏡をかけてから読んでいる自分に気づきます。
つまり、自分の中で、障害者と性の乖離がその衝撃を作ったのでしょう。
それを作者も狙って攻撃してきたと思います。
攻撃の中にも作者の優しさが垣間見れます。カタカナ語が心地よく、緩衝材になっています。
「生きるために壊れる体と生きるために芽生える命を殺すことの違いは」という問いかけがあります。
生きるために壊れる体は受動的
生きるために芽生える命を殺すことは能動的
私自身は中絶に反対しませんが、最初から殺すために受胎するのは、もちろん反対です。
そんなことは作者もわかっているうえでの衝撃的な問いかけです。それも怒りがなせる技でしょう
濃縮した怒りにはちょうどいい長さなのか、96ページでこちらもその攻撃にやられて一気に読み切ってしまいました。
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